日本の読者、友人の皆さんへ、

初春のポートランドから CFRL News No.33 を添付資料としてお送りします。

 3月に入って花が一斉に咲き始めました。アパートの前にあるBenson House(材木問屋で財を成したBenson氏の旧宅)の庭のマンサクは2月末に黄色い毛糸のような花を開いてすぐにしぼんでしまい、今は馬酔木が満開です。日向の花壇ではクロッカス、ヒヤシンス、ラッパ水仙が鮮やかな色を競っています。椿も満開で、日本情緒を振りまいています。Willamette河岸の公園地帯や市内の所々に多い彼岸桜も満開です。

 オレゴン交響楽団(Oregon Symphony)の来期(20029月―20035月)の公演予告と宣伝を兼ねた特別演奏会 ”A Season of Note – 2002-2003 Season Preview Concert” の招待券がシーズンチケット購入者に配られ、その一枚が手に入りました。常任指揮者のデプリースト氏(James DePreist)は1980年以来、ここの音楽監督と常任指揮者を勤めてこの楽団のレベルを引き上げたと言われる人で、2005年に退職する予定だそうですが、絶大な人気を誇っています。確かに、僕の好きな響きの、シベリウスの交響曲第2番の第4楽章はすごい迫力でした。

 日本でもシーズンチケットなど買ったことがないので不案内ですが、このような聴衆にサービスするための特別演奏会はどこでも行われているのでしょうか。この演奏会の曲目は、来期の演奏曲の中から1楽章くらいづつを選んで、合計2時間弱に編成したものです。前半は、1.フランク「交響曲へ単調」から第3楽章(終楽章)、2.ベートーベン「交響曲第8番イ長調」から第2楽章、3.グリーク「ペールギュント組曲第1番」からアニトラの踊り山の王の宮殿にて、4.ムソルグスキー/ラベル「展覧会の絵」から鶏の足の上の小屋(拙訳)とキエフの大門で、客演指揮者の3人が交代で指揮します。後半は、DePreistの指揮で、5.ブラームス「交響曲第4番ト単調」から第4楽章、6.ラフマニノフ「交響曲第2番ト単調」から第3楽章、7.モーツアルト「交響曲第31番(パリ)」から第2楽章、8.シベリウス「交響曲第2番ヘ長調」から第4楽章でした。交響曲の中から1楽章を選ぶと、どうしても終楽章が多くなるのは仕方がないのでしょう。ブラームスとシベリウスは圧巻でした。

 この演奏会は、州立のSchnitzer Concert Hallで行われたのですが、他にOpera Houseがあり、小規模なコンサートホールは、Portland市内にいくつもあります。大学にもLincoln Hallの建物にいくつかの演奏会場があることは、既述の通りです。ニューヨークやサンフランシスコなどの大都会とは比べものになりませんが、この地方都市でもこの位の施設はあって、交響楽団が活躍しているのは、やはり国全体の文化の質の高さなのでしょう。

 気になる新聞報道は、ブッシュ政権が戦術核兵器を対テロ戦争に使おうとしている、という報道です(N.T.310日)。パレスチナ問題などで、平和的解決を望む世論が盛り上がってきているだけに、warm warを推進する以外に方法はないのでしょうか。