日本の読者、友人の皆さんへ、

6月のCity of Roses, Portland からCFRL News No. 25を添付資料としてお送りします。

早いものでCFRL News`を出し始めてからもう2年になります。この間、ICCF8があり、静岡からPortlandへ本拠を移すことができ、研究に一層の便宜がえられるようになりました。研究の発展には非常に有利なことでした。

さて、6月に入り、ここPortlandでは石楠花からバラの季節に移り変わりつつあります。最後の石楠花の株が純白や濃紺の房を絢爛と開いています。薔薇が咲き始めて、町はそのニックネームのCity of Rosesを象徴する薔薇祭Rose Festivalの行事で賑わっています。

531日と6月1日の夜はウィラメット川The Willametteで花火大会がありました。1日は、955分から始まった花火の打ち上げが15分続き、1010分にピッタリ終了しました。日の出が524分、日の入り856分という夏時間の北国ですから、その頃にならないと空が暗くならないのです。その15分の間、河岸公園に面した川の中央に停泊した船から、絶え間なく花火が打ち上げられ、ドンドン、ピカピカ、それは賑やかなことでした。公園には小遊園地が出現し、遊具や売店が建ち並んで、明るいうちから綿飴、ポップコーン、アイスクリームなどを食べながらそぞろ歩く大人や子供で一杯です。それが花火の終了と同時に、ぞろぞろと公園を後にダウンタウンへ向かう風景は、アメリカンフットボールの試合のタイムスケジュールに似たアメリカらしさを感じさせました。

6月2日には、ローズフェスチバルの行事の一つ、星空パレードStarlight Paradeがダウンタウンの大通りで8時から2時間ありました。4時ごろ買い物に行った時に、道端に椅子をおいて座っている老人達に気づき、話を聞くと8時からのパレードの席取りだと言うことでした。チャンネル8で実況放送をしてくれたので、寒い街頭で震えずに、解説つきの特別映像でパレードを楽しむことが出来ました。90以上の団体が各種の出し物を披露して2時間にわたって行列する、94年の伝統をもつ行事だそうです。多くの高校の鼓笛隊Marching Bandが目を引くのは、アメリカならではの風景です。地域、趣味団体、会社などの(自動)山車や踊りグループなど、多彩です。9日にはGrand Floral Parade10時から2時間あります。

ポートランド大学PSUの話題では、音楽学部Music Facultyの恒例のオペラ公演、モーツァルトの「魔笛」が圧巻でした。ご存知のように、このオペラは時代を超越した名作で、オペラの中で僕の最も好きな曲ですが、「夜の女王」のソプラノと「ザラストロ」のバスに人を得ないと盛り上がりに欠ける曲でもあり、期待と同時に不安を抱えて切符を買ったものです。幸い、不安は全くの危惧でした。「夜の女王」を歌ったのは、ここの音楽学部を3年前に卒業してニューヨークで勉強している、最近カーネギーホールで公演を持った有望なソプラノ歌手で、見事な夜の女王でした。ザラストロは、ウクライナ出身の大学院生で、ウクライナでもこちらへ来てからも、教会の合唱指揮者を勤めている重厚なバス歌手でした。この二人の音域の間に、北西州のコンクールで優勝した学生を含む多くの学生、大学院生、卒業生によるこの公演は、静岡で聴いたプラハオペラの「ドンジョバンニ」より感動的でした。(比較するのがおかしいのですが、感動度で比較すると。)毎年行われるオペラ公演で、昨年は「フィガロの結婚」、一昨年は「コシファントッテ」をやったそうです。「コシファントッテ」のハイライトとPSU交響楽団の公演したマーラーの第4番とが2枚組になったCD15ドルで売られていました。どちらも立派な音楽になっています。

政治の話題では、やはり大統領です。Bush大統領が”Children is ----“と言ったとかで、日本の先代首相の種々の話題に似た小噺になっています。中国の江沢民主席が、「論理的でなく混乱しており、原則もない。極めて愚かだ」と評したと日本の新聞にも報じられましたが、原文はCNNニュースのようです:

Jiang is said to have called Bush "logically unsound; confused and unprincipled; unwise to the extreme," at a high level internal Communist Party meeting.

Jeffords上院議員が共和党を離党して独立したことで、50:50の均衡を保っていた上院の共和党と民主党の勢力関係が崩れたことは、日本でも報じられていることでしょう。アメリカ物理学会の「スポークスマン」のWNの、多分に単純化した批評が、へーと思うようなことを知らせてくれます;

1. SENATE: FREE AGENT SWITCHES SIDES.  Nothing else George W. did as Texas' governor generated as much criticism as he got as owner of the Dallas Rangers when he let Sammy Sosa be traded.  Now it's happened again.  Senator James Jeffords became a free agent with his reelection last fall, and this week he got a better offer from another team.  Jeffords, who opposes Bush's environmental

policies, will chair the Environment and Public Works Committee. And Washington could become a very different town.( WHAT'S NEW, Friday, 25 May 01)

 サミー・ソーサ選手のダラスレンジャーからシカゴカブスへの移籍に、ブッシュ大統領が関係していたんですね。ただし、WNの足りないところは、Jeffords氏の離党の理由は、環境問題environmental policiesだけではなく、もっといろいろ複雑な要因があるようです。常温核融合についての判断にもみられた、上のような単純化がWNの限界を示しているのかも知れません。

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Cold Fusion Research Laboratory, Physics Department, Portland State University, Hideo Kozima

E-mail address; cf-lab.kozima@pdx.edu

CFRL Web-site (Japanese); www.mars.dti.ne.jp/~kunihito/cf-lab/index.html
CFRL Web-site (English and Japanese); http://web.pdx.edu/~pdx00210