日本の読者、友人の皆さんへ、

 CFRL News No. 24を添付資料としてお送りします。

友人のMさんの援助で、漸くWebpageが出来かかりました.未完成ですが、論文リスト、Newsの英語版、日本語版、ニュース「前書き」、をご覧頂けるようになりました.下記Webpageをご覧ください。

CFRL Web-site (Japanese); www.mars.dti.ne.jp/~kunihito/cf-lab/index.html
CFRL Web-site (English and Japanese); http://web.pdx.edu/~pdx00210 (under construction)

五月になってめっきり暖かくなり、花も石楠花とつつじ、皐月の競演に変わりました.サイエンス棟の前の道端に新しく作られた花壇には、10種類以上の野草が植えられましたが、次々に花開いています。今は、1. Red paintbrush, 2. Sweet woodruff, 3. Common camas, 4. Kinnikinnick, 5. Lupine, 6. Red columbine, 7. Lily of the valley などが咲いていて、目を楽しませてくれます.1.は、茎の上端の葉先がオレンジ色に染まって、ちょうどブラシの先を絵の具に浸したような感じの、10センチ位の背丈の草です。3.はアヤメのような茎の先に細い6弁の花を咲かせる、アメリカらしくない(?)繊細な花です。Park Avenueの花壇では、自生のスズランが花をつけました。雨がちょっと多いのですが、気候は暑からず寒からずで、アメリカ人が住みたい場所のトップにここが挙げられているのも尤もと思えます.

最近のテレビで気のついたことは、大学入試のASTです。

ご存知の方も多いでしょうが、日本の進適(進学適性検査、昔懐かしい名前ですが)や共通一時試験(センター試験)はこれを真似たものと思っていいでしょう。1934年に始まるこの試験(AST)は、元はと言えば、第1次世界大戦の時に新兵の知能検査に使われたものだそうです.プリンストン大学のC. Brigham教授が大学入試用に改良し、the Scholastic Aptitude Test(SAT)と銘打って受験生の選抜に使われるようになりました.1934年にハーバード大学のJ.B. Conant学長が新しい国家的な試験機関を作るように提案し、第2時世界大戦後、私的な非営利団体the Educational Testing Services (ETS)が設立されて、現在も活動しているわけです.尤も、ACTという試験もASTと平行して行われていて、中西部ではACTが使われているようです.

今、問題になっていて、テレビでも特集番組が放映されたのは、「アメリカでも受験勉強が熾烈になってきたために」AST100点でも高い点を取るために月1000ドル以上払って予備校に通う高校生や浪人が増えてきていることです.それが本当に必要なのか、弊害はないのか、と問われているわけです.どうやら特にアジア系アメリカ人の間で受験勉強が盛んなようで、番組でも3年浪人してSATに打ち込んでいるアジア系アメリカ人の様子が映し出されました。日本や韓国の受験戦争が上陸したのではないか、との感想を持ちました。

大学側の対応は、「自由の国」アメリカらしく、千差万別な様子が、番組に登場した4人の学長の発言から伺えます。共通なのは、内申書、小論文、面接と併用することです。ある有名私立大学(日本のように大規模ではない)の場合は、SATを受ける義務はなく、30%は受験しない学生が入学しています。PortlandにもReed Collegeという全米に名を知られた有名私立大学がありますが、全学生数は2000人位で、広大なキャンパスに赤レンガの学舎が点在し、学生が学問に励んでいます。この大学には小さな研究用原子炉があり、理系文系の学生が卒業研究に利用しています。このような研究用原子炉は全米で30個以上あるそうです。住宅地からそんなに離れていませんから、住民の不安はないのか、との質問に、自由に参観してもらって理解を得ており、問題はない、とのことでした。

SATの特集番組で一つの話題となったのは、カリフォルニア大学(BerkeleyLAなど多くの分校を持つ)で受験義務を免除しようと考えていることです。「受験戦争」の客観的裏付けは、受験生の増加で大学側の選抜方法がSATを重視する、安直な方向に傾きつつあること、との指摘がありました。日本にいたときに報道されて驚嘆した、Harvard大学での、卒業生を含む大学側の手間暇をかけた受験生勧誘は、旧き良き時代の物語となりつつあるのかも知れません。そういえば、Bush政権が最近打ち出した教育改革案の中に、小学校の2年と6年生とかに全国統一試験を受けさせて学力を測定する、というのがありました。「自由の国」が「不自由の国」に成りつつある兆候かも知れません。

 ブッシュ政権成立後100日ということで、これまでの成績評価がなされていました。科学政策の顔が未だ見えないとの不安が、物理学者の間から上がっていますが、一番の問題は環境問題についての選挙公約違反のようです。ニューヨークタイムズの記事の一部を引用します。

President Bush’s Environmental Policy

In a reversal, President Bush announced last week that his administration would not seek to regulate power plants' emissions of carbon dioxide, a gas that many scientists say is a key contributor to global warming.

Bush had made a campaign pledge in late September to set "mandatory reduction targets" for carbon dioxide, but abandoned this position under strong pressure from conservative Republicans and industry groups who warned that any effort to regulate carbon dioxide emissions could deal a severe blow to Bush's plan to increase domestic energy production.

The announcement represents the administration's first elaboration of its emerging climate policy. What does this announcement mean for environmental policy in general? Does the reversal indicate anything about the future of Bush's campaign promises, or is this switch a special case? What should the administration do about the growing consensus that carbon dioxide causes global warming?” (NYTimes, Web Forum, 2001. 5. 6)

アメリカ国内のエネルギー政策との絡み合いが、国際的に現れたのが、前号で触れた1997年環境保護国際会議(京都会議)の気候条約から脱退する動きです。ファナチックなCF批判で顰蹙をかっているWNの著者B. Parkに言わせると、次のようになります。

.” What would you expect two Texas oilmen to come up with? Exactly. The Vice-President, speaking in Toronto on Monday, explained that energy policy will emphasize production. Oh, conservation may be "a personal virtue," he said, but it won't solve the problem: "Americans demand more energy." So clean coal technology, drilling in Alaska's Arctic National Wildlife Refuge, and even nuclear energy, are part of the strategy, but there will be no talk of renewables or efforts to reduce reliance on SUVs.”(WN May 11, 2001)