日本の読者、友人のみなさんへ。
CFRL
News No.21を添付資料としてお送りします。
Portlandはこれまでのところ異常に雨の少ない冬を迎えており、降水量は平年の1/3ということです。鬱陶しい冬を覚悟してきた太平洋岸気候になれた日本人には、以外に過ごしやすい冬です。晴れた日には南東に90
km離れたMt.
Hoodとその少し西にMt.
St. Helensとが白装束をまとった姿で望めます。
大学関係の興味ある話題を見つけて、「前書き」にする予定だったのですが、APSのMarch
Meetingに絡んで資料を漁っていて、そのウェブサイトにWNという興味あるページをみつけましたので、それを肴にしたいと思います。
21号の4)で、APSのHome
Page (www.aps.org)にRobert
Parkが書いているWHAT’S
NEW(WN)という週刊News
Letterに触れました。 そのWNの1989年からの内容を見ると、CF研究の裏面史の一面がわかるというメリットがあります。
確かに、CF研究者の側にもParkが指摘する欠点があることは否めませんが、それにしてもParkの論述は、日本物理学会の編集委員長にもいた狂信的な批判者のそれに似て、科学的に事実を検討することから、かなり隔たっているように思えます。
次に引用する文章も、‘なんとかも味噌も一緒にする’愚を犯しています。(下線は引用者)
Friday, 11 June 1999 Washington, DC
1. SUPPRESSION OF "NEW SCIENCE": BUDDY
CAN YOU PARADIGM?
Those attending last weeks Annual Meeting of the
Society for Scientific Exploration in Albuquerque (WN 4 Jun 99), take pride in
"thinking outside the box." Talks on such uh, diverse topics as divine
intervention, cold fusion, biological transmutation, precognitive
dreams, psychosurgery, after-death communication, alien
breeding experiments, clairvoyance, electronic signaling from the
dead and prayer healing, were all accepted as serious science. There
is no internal criticism in a community that believes it is under siege.
Convinced that powerful vested interests, including the scientific
establishment, are conspiring to hold back a scientific revolution, speakers
complained that "new" science is denied funding, rejected by journal
editors and even subjected to ridicule, just because it doesn't fit some outdated
paradigm. Alas, to wear the mantle of Galileo it is not enough that you be
persecuted by an unkind establishment, you must also be right.
これを読むと、UFOや超常現象と常温核融合現象CFPを一緒くたにした、日本物理学会の機関誌Butsuriのレフェリーを思い出します。識別能力の欠如が、これらの批判者の共通要因のようです。
WNの1989年頃の号には、CFPに関連した記事が盛んにあらわれますが、近年のものには上に引用したNew
ScienceやNews21に引用したFree
Energy、ミクロ水素原子などの記事が多くなっています。 Infinite Energyが拙著を取り上げて、Huizenga
批判の文章などを
”Japanese English” unevenness の very
charming example などと言って引用しているので、R.
Park や
J. Huizenga本人から、興味ある批判を受けることができるかもしれません。
少し専門的になったついでに書けば、CFPを量子力学の枠内で取り扱う研究と、枠を新しくして取り扱う研究とは、別のジャンルの研究であることを、明確に認識すべきでしょう。
量子力学がミクロな領域―原子・分子と原子核の大部分―で確立された原理体系を基礎にしていることは、現代科学の常識です。CFPが量子力学の適用範囲内の現象であることも明らかです。News
No.18までに掲載された沢田哲雄氏の論考も同じことを説いています。
勿論、どのような科学も一定の限界内で成立していることは、当然のことです。適用範囲外で、量子力学を革命することは一向に差し支えないことです。これまでに常温核融合国際会議では、量子力学の革命が論じられたことはないと記憶しています。各会議の組織委員長の見識を示すものでしょう。今後とも、この方針は堅持していってもらいたいと思うのは、私一人ではないでしょう。 量子力学の枠内の議論と、その枠を取りかえる議論とは、別の場でするべきだと思います。