CFRL ニュース No. 65          (2006. 8. 6)

Cold Fusion Research Laboratory (Japan) Dr. Hideo Kozima, Director

                            E-mail address; cf-lab.kozima@nifty.com 

                            Websites; http://www.geocities.jp/hjrfq930/

                                     http://web.pdx.edu/~pdx00210/

            Newsのバックナンバーその他は上記ウェブサイトでご覧になれます

 

   常温核融合現象CFP(The Cold Fusion Phenomenon) は、「背景放射線に曝された、高密度の水素同位体(H and/or D)を含む固体中で起こる、核反応とそれに付随した事象」を現す言葉です。

 

  CFRL ニュース No.65をお送りします。この号では、次の記事を掲載しました。

1. H.Kozima, ”The Science of the Cold Fusion Phenomenon” (Elsevier, 2006) が発刊されました。

2. ICCF13 in Russia のおおまかな開催予定。

 

1.H.Kozima, ”The Science of the Cold Fusion Phenomenon” (Elsevier, 2006) が発刊されました。

 上記の拙著がElsevier社から7月末に発刊されました。

常温核融合研究所のWebsiteの下記ページに概要をコピーして掲示しましたので、ご覧ください。

http://www.geocities.jp/hjrfq930/Books/bookse/bookse03.html 

また、下記Elsevierのウェブサイトにも本書の紹介があります。

http://books.elsevier.com/uk//Elsevier/uk/subindex.asp?maintarget=&isbn=0-080-45110-1 

正直なところ、「常温核融合」って、インチキだったんじゃないの?というのが、多くの人々の反応ではないでしょうか。

でも、「ちょっと待ってください。そういうあなたの判断の根拠をはっきりと説明できますか?」と問いたくなるのが、真面目にこの現象を研究している我々の気持ちでしょう。

1989年の3月から12月にかけて、新聞や雑誌の紙面を賑わし、早計に否定され、忘れ去られた「常温核融合」とは何だったのか、科学的に検証する雰囲気をこの世界に醸し出したいものです。権威ありげな言説を鵜呑みにしていては、科学することは不可能です。

この17年間に蓄積された膨大な実験データが示す事実は、最初の実験者であるフライシュマンとポンズたちが予想した、重陽子間の融合反応(d-d反応)が原因と考えたのでは説明できない、不思議な事象が実験データの大半を占めています。 

その中でも最も奇妙なのは、d-d反応からは想像もできない、原子番号が3より大きな原子核が生まれる反応(核変換)が起っていることです。核変換で生ずる原子核には、BeからPbまで、およそ天然に存在するほとんどあらゆる原子核が含まれています。

このように複雑な現象を呼ぶ名前としては、最初につけられた「常温核融合」にちなんで、また未だ正体のはっきりしない現象であることを踏まえて、常温核融合現象(本書の表題にもある英語名の頭文字を使ってCFP)と呼ぶのが適当です。

CFPとはどのような現象なのか、その概略を見てみましょう。

まず、この現象の起る場は、軽水素重水素を多量に含む遷移金属(それもfcchcp構造をもつTi, Ni, Pdが主)とその他の化合物です。それに加えて、地上に偏在している熱中性子の存在が必要です。

そのような物質試料と中性子があったとき、この現象の起る場所は試料の表面あるいは界面の一部に局在しています。

現象の起り方は、断続的で予測不可能であり、単純な系で起る現象のような定量的再現性はありませんが、定性的再現性(あるいは統計的再現性)があります。

これらの特徴は、CFPを起こす試料が複雑系であり、原因には原子・分子過程が、また結果には原子核過程が関係していることを考えれば、当然のことです。最近研究の進んでいる、カオスやフラクタルのような複雑系の科学が、常温核融合現象には密接に関係しています。

本書では、常温核融合現象の実験事実の全体をこのような立場で整理し、それを統一的に説明するモデルをつくり、そのモデルの基礎を量子力学的に探求しています。ガリレオ流に言えば、現象の真実の姿が垣間見える状態になったのではないかと思います。

CFPは、その生起の必要条件と十分条件が未だ確定していませんので、その科学―固体-核物理学固体-核化学―を解明することが第一の課題です。今までに得られている実験データを手がかりにして謎解きをする楽しみは、探偵小説の謎解きよりも面白いはずです。

CFPの科学が明らかになるにつれて、その応用が興味の対象に浮かび上がってきます。この複雑な現象は、多様な応用の可能性を秘めており、エネルギー発生希少資源生産放射性廃棄物処理などに関連した新しい技術が開拓されるでしょう。

 

2. ICCF13 in Russia のおおまかな開催予定。

最近、ロシアのY.Bazhutovからもらったメールによると、ICCF13の凡その開催予定は、次のようなもののようです。近いうちに実行委員会から正式な通知が来るのでしょうが、予備知識としてお知らせします。

時期:20076

場所:ロシアの黒海沿岸の保養地Sochiの近郊のDagomys (村?).

Dagomys はロシア会議(Russian Conference on Cold Nuclear Transmutation of Chemical Elements) が毎年10月に行われている場所です。