CFRL ニュース No. 62          (2005. 8. 10)

Cold Fusion Research Laboratory (Japan) Dr. Hideo Kozima, Director

                            E-mail address; cf-lab.kozima@nifty.com 

                            Websites; http://www.geocities.jp/hjrfq930/

                                     http://web.pdx.edu/~pdx00210/

            Newsのバックナンバーその他は上記ウェブサイトでご覧になれます

 

   常温核融合現象CFP(The Cold Fusion Phenomenon) は、「背景放射線に曝された、高密度の水素同位体(H and/or D)を含む固体中で起こる、核反応とそれに付随した事象」を現す言葉です。

 

  CFRL ニュース No.62をお送りします。この号では、次の記事を掲載しました。

1. J. New Energy Vol.7, No.1 が刊行されました。

2. H. Kozima, J. Warner and C. Salas Cano and J. Dash, “TNCF Model Explanation of Cold Fusion Phenomenon in Surface layers of Cathodes in Electrolytic Experiments” J. New Energy 7-1, 64 – 78 (2003) が、漸く活字になりました。

3.小島英夫著 「『常温核融合』を科学する−現象の実像と機構の解明−」(工学社)が出版されます。

 

1. J. New Energy Vol.7, No.1 が刊行されました。

Salt Lake City のHal Foxが出しているThe Journal of New Energy は資金繰りの問題で(?)刊行が遅れ勝ちのようですが、2003年のWinter 号が今年の6月になってやっと印刷され、雑誌が送られてきました。この号はINE Symposium 2002の報告集で、次項のわれわれの論文もここで発表されたものです。(この号のContentsを別にPDFファイルとして添付します。)

 

2. H. Kozima, J. Warner and C. Salas Cano and J. Dash, “TNCF Model Explanation of Cold Fusion Phenomenon in Surface layers of Cathodes in Electrolytic Experiments” J. New Energy 7-1, 64 – 78 (2003) が、漸く活字になりました。

この論文では、John Dashが長年にわたる実験で得たデータを、TNCF(Trapped Neutron Catalyzed Fusion)モデルで統一的に説明しており、Dashたちの実験データの信頼度とTNCFモデルの有効性を示しております。この論文をPDFファイルとしてWebサイトに掲示します。

 

3.小島英夫著 「『常温核融合』を科学する−現象の実像と機構の解明−」(工学社)が8月中旬に出版されます。

拙著「常温核融合の発見−固体−核物理学の展開と21世紀のエネルギー問題−」を1997年に上梓してから8年がたちました。この間に実験データは一層充実し、この現象の本質が見る目には見えてきたと言えるのではないでしょうか。

新著では、常温核融合現象をより進んだ段階で取り扱っています。前著で主に現象論的に扱ってきた実験データと新たに発見した二つの法則性(「核変換における安定性効果」と「過剰熱発生の逆ベキ法則」)を、核変換に重心をおいて整理しなおし、TNCF(Trapped Neutron Catalyzed Fusion)モデルでの説明を一層コンパクトにまとめ、さらにモデルの基礎を固体物理学と核物理学の知識を基に量子力学的に検討することができました。さらに常温核融合現象が複雑系の科学の対象であることを、上記の二つの法則性を使って論じています。専門家以外の読者を対象にした啓蒙書ですが、この現象の研究者が読んでも参考にしていただける内容と思っています。

工学社は、水野さんの新著「常温核融合−研究者たちの苦闘と成果−」など、常温核融合現象関係の本を精力的に出している良心的な出版社で、いい加減な批判的著書は出しても科学的な研究書には二の足を踏んでいる出版界にあって、貴重な存在です。このような出版社の存在はわが国の誇りと言っても過言ではないでしょう。

拙著の目次を下に転載します。

 

「常温核融合」を科学する−現象の実像と機構の解明−

目次

はじめに

0. 本書を読むための物理の基礎知識

a. 元素記号、核種、放射線など

b. エネルギーの単位

c. 長さの単位

d. 参考文献について

1.   常温核融合現象の発見

1.1 最初の実験

1.2 フライシュマンたちの実験

再現性の問題

軽水素系での実験

1.3 フライシュマンたちの実験の検証

1.4 ジョーンズたちの実験

1.5 スキャンダル

1.6 軽水素系での実験

1.7 事実と真実

2.     常温核融合現象の事実

2.1 実験はどのように行われるか

2.2 常温核融合現象はどこで、どのように起るか

トピックス1 <水素化遷移金属の不思議>

トピックス2 <背景中性子>

トピックス3 <イマジネーションが中性子を発見した>

2.3 物理量xを生ずる核反応の数Nx

2.4 核変換

TNCFモデルに基づいて核変換を解析するための仮定

トピックス4 <放射能、アルファ線、ベータ線、ガンマ線>

2.5 トリチウム

2.6 中性子 n

2.7 へリウム3 3He とへリウム4 4He

2.8 過剰熱

2.9 ガンマ線の不在

トピックス5 <電磁波、X線、ガンマ線>

2.10 核変換で生まれる核の安定性効果

2.11 現象の起る頻度の逆ベキ法則

 トピックス6 1/f ゆらぎ>

2.12 定性的再現性

2.13 常温核融合現象の実験事実のまとめ

3. 常温核融合現象の科学

3.1 困ったときはモデルを使おう

トピックス7 <カオス、フラクタル、複雑性>

トピックス8 ボーアの原子モデル>

3.2 TNCFモデル

3.3 TNCFモデルによる常温核融合現象の説明

3.4 固体内での核反応

トピックス9 <試行錯誤の結果として生まれた量子>

3.5 中性子の状態

3.6 CF マター

3.7 安定性効果と逆ベキ法則が示す複雑系の科学の対象としての常温核融合現象

終わりに

参考文献

索引 (1. トピックス、2. 図版、3. )

核反応式・関係式一覧(式番号順)